月面探査といえばアポロ11号ですが、2022年の現代でも、月面探査は難易度を高めて挑戦され続けています。
米航空宇宙局(NASA)は30日、日本初の月面着陸に挑む
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の超小型探査機オモテナシ、深宇宙探査用 CubeSat EQUULEUSを搭載する
新型ロケットSLSを9月3日午後2時17分(日本時間4日午前3時17分)から2時間の間に
フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げると発表しました。
今回の試みは国際月探査アルテミス計画の一環で、
SLSには有人月探査のための新型宇宙船オリオン(今回は無人飛行試験)や、
日本のオモテナシ、EQUULEUSを含む超小型探査機10機が相乗りして月へ向かいます。
▼SLSに乗り込む世界の探査機たち
米国が主導するアルテミス計画は、月面での持続的な有人活動を目指す国際協力プロジェクトです。
まず2024年までに、再び人類を月面へ送り込み、その後、月周回軌道に新たな宇宙ステーション「ゲートウェイ」を建設。
ここを拠点に、月面基地を構築し、将来的には、有人火星探査も視野に入れています。
日本から参戦する探査機のひとつEQUULEUSは、JAXAと東京大学が中心となって開発しました。
ある天体が別の天体の周りを回る場合に、それらの引力が釣り合う5つの位置を「ラグランジュ点」と呼びます。
探査機などはそこに留まり続けられ、推進剤(燃料)を節約できるとされます。
月と地球、太陽の引力が釣り合うラグランジュ点のうち、地球から見て月の裏側には、
将来の宇宙ステーションの候補地である「地球―月系の第2ラグランジュ点」があります。
EQUULEUSは効率よく起動制御をしながらそこへ向かう技術を実証します。
それに加え、EQUULEUSは地球の磁気圏プラズマの全体像を地球から離れた距離から
極端紫外光で撮像、月の裏面における月面衝突閃光の観測、
地球から月軌道周辺までの空間(シス・ルナ空間)におけるダスト環境の評価
の3つのミッションを実施する計画です。
▼EQUULEUS
このEQUULEUSの構造にははやぶさ2発射時に相乗り発射されたPROCYONの技術を応用した箇所もあり、
はやぶさプロジェクト、はやぶさ2プロジェクトに協力したコバセイとしても注目のミッションとなります。
JAXA相模原キャンパスの目と鼻の先にあるコバセイですが、さまざまな形で宇宙探査プロジェクトに携わっています。
ミッションが終了するまでは口外してはいけないものばかりですが、
日本の知識人が宇宙探査計画を進め、その一部を任せて貰えることに誇りを持って日々仕事に挑んでおります。
発射延期を余儀なくされたSLSですが、4日には今度こそ無事発射できることを祈りつつ、
本日も金属加工に精を出し精度を出してまいります。