【土星衛星探査】コバセイと衛星探査ミッション

【3年ぶりの皆既月食】

2025年9月8日、2022年11月8日以来、約3年ぶりに日本全国で皆既月食が観測されました。
8日の1時半ごろから欠け始め、2時半には完全に月が地球の影に入りました。
徐々に赤銅色へと変わる月、月の影にいた星が現れる様子に、宇宙の広さを感じる夜となりました。

▼撮影した皆既月食の様子

▼月食のしくみ(提供:国立天文台 天文情報センター)

そして同日、未明に皆既月食が終わり沈んだ月が、
夕方再び東の空から昇る頃、すぐそばに明るい星が見えました。
土星です。土星は翌9日の午前2時頃に3.2度まで月と近づきました。

土星は9月21日に衝(しょう)となり、観望の好機を迎えます。
衝とは、太陽系の天体が地球から見て太陽とちょうど反対側になる瞬間のことで、
衝の前後の時期、土星は日の入りのころに東の空から昇って真夜中に南中し、
日の出の頃に西の空に沈むため、一晩中見ることができます。
皆既月食の観望をしていた3時前後は、土星は月の左上のあたりに小さく輝いていました。

▼衝のしくみ(提供:国立天文台 天文情報センター)

また、今年は土星の環の傾きの関係で、
3月には環が地球に対して真横になり、望遠鏡で見えなくなる現象も起こりました。
9月も依然として傾きが横向きなので、例年よりも細い環が観測できるでしょう。
 

【コバセイと土星の衛星】

コバヤシ精密工業は、土星最大の衛星タイタンへの探査計画、
Dragonflyミッションにて地震計外装部製作の契約をしております。
Dragonflyミッションはジョンズホプキンス大学応用物理学研究所(JHU/APL)が
主導する探査計画で2028年にタイタンに向けて打ち上げられます。

日本(ISAS/JAXA)は地震計の提供や科学研究で参加し、
地下で発生する地震の活動度や、表層・氷地殻の構造を調査します。
ISAS/JAXAは、長年にわたって月や惑星の内部構造を探査する
最も重要な観測機器と位置付けて「地震計」を開発してきました。
これまでの技術開発と科学研究の成果を宇宙で実証することで
日本がDragonflyミッションの意義価値を国際的に高める貴重な機会となります。

たくさんの国内研究者のため、土星探査成功のため、そして宇宙を知る重要な足掛かりのため、
大きなプロジェクトに参加させていただける誇りを胸に製作にあたります。

▼土星衛星タイタン離着陸探査 Dragonfly

https://www.isas.jaxa.jp/missions/spacecraft/developing/dragonfly.html

 

【今月の宇宙に思いを馳せる日】

9月12日「宇宙の日」
1992年 毛利衛さんが日本人宇宙飛行士として初めてスペースシャトル
「エンデバー」に搭乗して宇宙空間へ旅立った日。

9月20日「国産ロケット打ち上げの日」
1957年 糸川英夫博士率いる東京大学生産技術研究所チームが
「カッパー4C型1号機」を打ち上げ、高度45,000mに到達。宇宙線を観測した日。

9月23日「海王星の日」
1846年 フランスの天文学者ユルバン・ルベリエが軌道を計算し、その手紙を受け取った
ドイツの天文学者ヨハン・ガレがベルリン天文台の望遠鏡を用いて海王星を発見した日。